同じ問題の連続から、解き方を選ぶ練習へ

エリム教育研究所 / 教育論文を読む

研究で確かめられたことと、そこから考えられる実践のヒントを分けて紹介します。

解けるのに、選べない?

同じ種類の計算が続くプリントなら解けるのに、いろいろな問題が混ざると手が止まる。そんな経験はないでしょうか。解き方を実行することと、どの解き方を使うかを選ぶことは別の課題です。今回は、数学の練習問題を並べる順序に注目した研究を紹介します。

まとまりと交互の違い

まとまり練習は、同じ種類の問題を続けて解く方法です。交互練習は、違う種類の問題を混ぜて解く方法です。後者では、前の問題と同じ手順とは限りません。まず何の問題なのかを見分ける必要があります。ただ順番をばらばらにすればよい、という話ではありません。

学校で行われた研究

紹介するのは、数学の交互練習を調べ、二〇二〇年の巻号に掲載された研究です。アメリカ、フロリダの五校で、十五人の教師と、第七学年の五十四学級が参加しました。実験室だけでなく、学校の数学の授業に組み込んで、練習の並べ方を比較した点が特徴です。

参加者と分析対象

参加した生徒は八百五十六人で、分析対象は七百八十七人でした。交互練習の条件が三百九十八人、まとまり練習が三百八十九人です。学年は日本の中学生に近い時期ですが、学校制度や学習内容は同じではありません。日本の同年齢にそのまま当てはまると決めないようにします。

参加者:856人/分析対象:787人:交互398人/まとまり389人
図1:参加者と分析対象。本文を説明するための独自図。論文図の転載ではありません。

学級ごとに割り付ける

条件は、個々の生徒ではなく、学級単位で無作為に割り付けました。同じ学級の生徒は、同じ形式の課題に取り組みます。こうした比較では、生徒一人ずつの違いだけでなく、学級のまとまりも関係します。研究がどの単位で方法を変えたかを押さえておきましょう。

問題は同じ、順序を変える

約四か月の間に使ったのは、八枚の課題です。二つの条件で、出題する問題そのものを変えるのではなく、その並び方を変えました。片方だけ難しい問題を追加した比較ではありません。何を解くかをできるだけそろえ、どの順序で解くかに違いを作った設計です。

最後は共通の復習も行う

課題の期間が終わった後には、両方の条件で共通の混合復習を行いました。その後、約一か月を空け、予告なしのテストを実施しました。テストは十六問です。練習したその場の答えやすさだけでなく、時間がたった後の成績を確かめた研究になっています。

一か月後の結果

後日のテスト正答率の平均は、交互練習が六十・七パーセント、まとまり練習が三十七・六パーセントでした。この研究の条件では、種類を混ぜて練習した学級のほうが高い成績でした。論文の要旨で見かける六十一パーセントと三十八パーセントは、丸めた数字です。

交互練習:約1か月後:60.7%/まとまり練習:約1か月後:37.6%
図2:一か月後の結果。本文を説明するための独自図。論文図の転載ではありません。

差は二十三・一ポイント

二つの平均の差は、二十三・一パーセントポイントです。二十三・一パーセント向上、と同じ意味ではありません。また、全員が同じだけ伸びたという数字でもありません。各条件の平均の違いです。研究結果を伝えるときは、割合そのものと、割合の差を分けて表します。

解法を選ぶ練習になる

なぜ違いが生まれたのでしょうか。一つの考え方は、交互練習では毎回、問題に合う解法を選ぶ必要があるというものです。同じ種類が続くと、問題文を十分に見なくても、直前と同じ手順で進めてしまうことがあります。ただし、これだけが原因だと切り分けた研究ではありません。

分散や検索も含まれる

問題の種類を混ぜると、同じ種類に戻るまで時間が空きます。以前の解き方を思い出す機会にもなります。そのため、この比較には分散学習や検索練習の要素も含まれています。混ぜることだけを取り出し、それ以外の働きから完全に分離した結果ではない点が重要です。

練習時間は測っていない

時間についても注意があります。学習にかかった時間は測定されていません。参加した教師全員が、交互の課題は時間がかかったと報告しました。したがって、この結果から、同じ時間で必ずこれだけ得をするとは言えません。授業に取り入れる際には、必要な時間も確かめます。

提出物の高得点に注意

練習中の提出物では高い正答率が示されていますが、それは訂正後のものです。最初からどれだけ解けたかの成績として、交互練習とまとまり練習を比べる数字には使えません。記録された点数を見るときは、いつ測ったのか、答え直しを含むのかまで確かめることが大切です。

練習の提出物:訂正後の成績を含む/比較の注意:最初の自力正答率として使わない
図3:提出物の高得点に注意。本文を説明するための独自図。論文図の転載ではありません。

最初から全部混ぜる?

この研究は、一つの学区の特定の数学コースで行われました。初めて学ぶ内容の練習を、すべて最初から混ぜるべきだという根拠にはなりません。解き方自体がまだわからない段階では、説明や例題、まとまった少数の練習が助けになる可能性もあります。導入と復習を分けて考えます。

ここからは実践の提案

ここからは、研究を参考にした実践の提案です。新しい解き方を説明と例題で確かめ、少数の同種問題で手順を練習します。その後、すでに学んだ別の種類と混ぜ、どの方法を使うか考えます。この導入から復習への具体的な手順は、原著と同一の介入ではありません。

独自の図形問題で見る

オリジナルの例として、長方形の面積と、周りの長さを求める問題を考えます。縦四センチ、横七センチの長方形なら、面積は四かける七。周りの長さは、四と七の和を二倍します。同じ数字が出てきても、何を求めるかによって式が違うと見分ける練習です。

式の前に理由を言う

この例では、すぐに計算する前に、何を求める問題かを短く言ってみます。内側の広さだから面積を求める。辺を一周する長さだから、周りの長さを求める。こうして、選んだ式の理由を確かめます。説明を加えるこの活動は実践上の提案で、原著でその効果を分離して調べたものではありません。

混ぜる量は小さく始める

初めは、すでに学んだ二種類程度から始める案が考えられます。急に多くの種類を混ぜると、どこで困ったかが見えにくくなります。ただし、二種類が最適だと研究が示したわけではありません。子どもの取り組み方を見ながら、問題の数と種類を少しずつ調整するための出発点です。

小さく試す案:既習の2種類程度から/位置づけ:最適値ではなく、調整の出発点
図4:混ぜる量は小さく始める。本文を説明するための独自図。論文図の転載ではありません。

間違いを二つに分ける

答えが違ったときは、計算の途中で間違えたのか、最初に選んだ解き方が違ったのかを分けて見ます。前者なら手順や計算を確かめ、後者なら問題文のどこを見るかを確認します。点数だけで終わらせず、次の説明や練習を選ぶ手がかりにすることができます。

速さだけで判断しない

種類を混ぜた直後には、考える時間が増えるかもしれません。それだけで方法が悪いとも、時間がかかったから効果があるとも言えません。後日、自分で解法を選べるかを見て、負担と成果を確かめます。家庭や授業で試す場合にも、最初の一回の速さだけで結論を出さないようにします。

混ぜ方にも目的を持つ

どんな問題でも無作為に混ぜれば、今回と同じ結果が出るわけではありません。学んだ方法を見分け、必要なときに選ぶという目的を持ちます。似ていて混同しやすい種類や、以前に学んだ種類に戻る形が考えられます。説明と訂正の機会を添え、難しさだけを増やさないようにします。

できるから、選べるへ

今回の研究では、同じ問題でも種類を混ぜて練習した条件で、約一か月後のテスト成績が高くなりました。ただし、時間の違いや、分散と検索の働きも含む結果です。次に復習を作るときは、手順を実行する問題に加え、解き方を選ぶ小さな機会を置けないか考えてみましょう。

この研究を読むときの注意

  • 学習時間未測定。教師全員が交互課題は時間がかかったと報告
  • 分散・検索の要素も伴い、純粋に混ぜる効果だけを分離していない
  • 一学区・特定コースで、初学者の全練習を混合にする根拠ではない

ここで示した家庭・授業の例は、研究者がそのまま検証した手順ではなく、エリム教育研究所の提案例です。

参考資料

Rohrer, D., Dedrick, R. F., Hartwig, M. K., & Cheung, C.-N. (2020). A randomized controlled trial of interleaved mathematics practice. Journal of Educational Psychology, 112(1), 40–52.

一次資料の本文を読む(確認日:2026年10月18日)

出典の数値・図の位置:著者原稿Table 6(PDF36頁)。対象Table 2–3、方法PDF11–18頁、限界PDF21–22頁

編集方針:教育論文の読み方と編集方針

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